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コンテクスト検索エンジン

コンテクスト検索エンジンとは

 Webの魅力の一つは世界中の最新の情報が入手可能な点であり,ソーシャルメディアの普及によりその傾向はさらに強まっています.一方,Webが利用されるようになって20年ほど経ち,膨大な情報が蓄積されています.新しい情報のみに着目するのではなく,過去を知るための情報リソースとして有効活用する段階に来ています.
 一方,Web上に存在する多種多様なリソースへのアクセス手段として,検索エンジンが現在広く用いられています.検索エンジンが一般的な存在となった理由として,機能がシンプルで誰にでもわかりやすいこと,ドメイン・タスクによらず広く一般的に利用可能であること,複数の検索(クエリ)を組み合わせることで,多様な用途に利用可能であることなどが挙げられます.
 しかしその反面,検索エンジンが提供する基本検索機能は低レベルにとどまっており,ユーザの抱く検索要求との乖離が大きくなっています.多種多様な情報要求を,検索エンジンに入力すべき一連のクエリ(キーワード)に分割する必要があり,一般ユーザにとっては簡単な作業ではありません.また,熟練者にとっても効率的な情報アクセスを阻む要因となっています.
 この問題に対し,動向に関する問いにタスクを限定することで,現在の検索エンジンよりも高度な検索機能を提供することを目標として開発しているのが,コンテクスト検索エンジンです.動向に関する問いは幅広いドメインにみられるものであるため,既存検索エンジンと同様ドメインによらず利用可能であることが期待できます.


Fig. 1: コンテクスト検索エンジンの設計コンセプト

コンテクスト検索エンジンで何ができるか?

 例えば,以下の様な問いに対する検索が可能です.

(1) 指定したアイテムに関する動向が特徴的変動を示した期間の検索
  例)自転車に関する動向が山形となった期間は?

(2) 指定した期間に特徴的変動を示したアイテム・動向の検索
  例)昨年の間に動向が谷となったアイテムは?

(3) 指定したアイテムに関する動向が特徴的変動を示した期間に同様の変動を示したアイテム・動向の検索
  例)安倍内閣の支持率が最大となった時期に,同様に動向が最大となったアイテムは?


Fig. 2: インタフェースのスクリーンショット(旧バージョン)

想定活用事例

 最新のニュースに気になる話題があった場合に,過去に同様の話題が注目を集めたことがあったか調べるといった,気軽な用途も考えられますが,多様なリソース間の潜在的関係を見いだすツールとしても利用可能と考えています.LODなどでデータ公開が進みつつある現在,データを組み合わせ新たな価値を創造することは重要であり,その様な用途にも活用したいと考え,開発を進めています.

発表文献

  • 高間 康史,加藤 優,桑折 章吾, 石川 博,動向に関する問いを対象とした検索エンジンの提案,人工知能学会論文誌,Vol. 30, No. 1, pp. 138-147, 2015.(J-STAGE
  • Y. Zhu, Y. Takama, Y. Kato, S. Kori, H. Ishikawa, Introduction of Search Engine Focusing on Trend-related Queries to Market of Data, MoDAT2014 in ICDM2014, pp. 512-516, 2014.
  • S. Kori, Y. Zhu, K. Yamaguchi, S. Takiguchi, Y. Takama, Analysis of User's Behaviour Based on Search Intentions for Information Retrieval Using Search Engines, TAAI2015, pp. 64-70, 2015.
  • Y. Moriyama, M. Matsushita, Y. Takama, Visual User Interface to Supporting Information Seeking Behavior in Context Searching, TAAI2015, pp. 77-82, 2015.
  • 手塚 拓哉,山口 晃一,Yanjun Zhu,桑折 章吾,高間 康史,コンテクスト検索エンジンへのランキング機能の導入に関する検討, 第11回インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会,SIG-AM-11-02, 2015.(SIG-AM
  • 高間 康史,Yanjun Zhu,桑折 章吾,山口 晃一,瀧口 慈勇,動向に関する問いに答えるコンテクスト検索エンジンの開発,第10回インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会,SIG-AM-10-02, 2015.(SIG-AM
  • 山口 晃一,諸 琰俊,桑折 章吾,高間 康史,コンテクスト検索エンジンのインタフェース向上に関する検討,JSAI2015, 1I3-OS-10b-1, 2015.(JSAI
  • 盛山 将広,松下 光範,高間 康史,コンテクスト検索による情報探索行為を支援するための可視化インタフェースの提案,JSAI2015, 1I3-OS-10b-2in, 2015.(JSAI
  • 高間 康史,諸 琰俊,桑折 章吾,山口 晃一,動向に関する問いに答えるコンテクスト検索エンジンのデータ市場への応用に関する検討,人工知能と知識処理研究会,AI2014-26, pp. 5-8, 2014.
  • 桑折 章吾,加藤 優,高間 康史,検索エンジンを用いた情報検索におけるユーザ行動の分析,第4回インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会,pp. 9-14, 2013.(SIG-AM
  • 加藤 優,桑折 章吾,高間 康史,「動向に関する問い」を対象タスクとしたコンテクスト検索の提案,第3回インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会, pp. 7-12, 2013.(SIG-AM
  • 加藤 優,高間 康史,Webコンテクスト情報に基づく同時期流行アイテム検索手法の提案,FSS2012, TF3-4, pp. 115-118, 2012.

関連プロジェクト

  • 首都大学東京傾斜的研究費(全学分)学長裁量枠戦略的研究プロジェクト戦略的研究支援枠「ソーシャルビッグデータの分析・応用のための学術基盤の研究」
  • 科研費基盤(B):動向情報エコシステム実現のための情報アクセス・活用支援(FY2015-2019)
  • 科研費挑戦的萌芽研究:次世代検索エンジンのためのコンテクスト検索手法の確立(FY2012-2014)

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